Boso Mountain and Coast Road
始発に乗り遅れ、8時少し前の小湊鉄道に乗る。終点の上総中野駅に着くと、反対側のホームにいすみ鉄道の黄色いレールバスと、駅前には栗又の滝行きの臨時バスが待っていて、私以外の乗客はそのどちらかに乗り換えて行った。
MTBを組み立てて走り始める。国道465号を西へ。来た線路の踏切を渡るが、名前は「老川県道踏切」。昇格したらしい。緩やかな上り坂で峠をひとつ越えて、養老川の谷を横切る。温泉旅館のある老川まで下り、また上り。ピークと思ったトンネルの中もまだ上りで、トンネルを出た山上が筒森の集落だった。
これから向かう麻綿原高原への道、星井畑林道の入り口が左に見える。あじさいの時期、6/20から7月末まで一方通行で進入禁止の標識がある。きょうは清澄山を経由するので、国道を直進。
大多喜町、君津市の境の照明のないトンネルを抜けると、黄和田。国道は右に分岐して亀山へ向かい、直進は県道81号線で「大型車通行禁止」の看板。上総中野から30分。ここでようやく予定のルートに合流したわけだ。
ヘアピンカーブを曲がると一軒宿の七里川温泉。日帰り入浴もやっていて、この先が長くなければ立ち寄るのに、と残念に思う。久留里からのコミュニティバスはここが終点のようだ。その先には天井の低い黄和田畑トンネルがあって、どうやっても大型車は入れない。
小櫃川の渓谷に沿って、ときどき行き違いスペースのある林道のような道。近所の人たちが道路脇の草刈りをやっていて、挨拶する。谷間の山藤の向こうに吊り橋が見える。房総のイメージとは離れて山深い風景。
3キロほどで清澄温泉のバス停。少し行くと温泉宿がある。ここから鴨川市だが、とたんに林間に入り、道が狭くなる。小櫃川流域はほとんどが君津市だが、川は市境を越えて鴨川市域の清澄山に源頭があるのだ。河口まで88キロあるらしいが、逆に清澄山から太平洋まではたったの4キロ弱しかない。恐るべし小櫃川。
陸橋のかかる清澄山入口で県道を外れ、清澄山へ向かって急坂を上がる。ギアを落とせば、なんとか漕いでいけるほどの勾配。
清澄寺に詣でる。立派な巨杉を仰ぎ見る。境内の池ではモリアオガエルが喧しく鳴いていて、人だかりがしている。
門前の参道は急登で本堂の裏へ続いていて、押しで上って行く。急登が終わったところにゲート出現。ここからは東大の演習林。予想通り、軽トラックだったら余裕で入れるダート道が続く。ほぼフラットに、尾根筋をくねくねと走り抜ける。きのうまでの雨のせいかところどころ泥濘になっているのが惜しい。夫婦ハイカー2組と、なぜか苛立った顔つきでランニングしている男性とすれ違った。
10分ほど走って反対側のゲートを過ぎると、天津林道、奥谷林道、それに麻綿原高原への分岐の4つ角。標識がいくつもあってインフレ気味だが、くどいほどに書いておかないと確かに間違えそう。直進して奥谷林道へ、内浦山県民の森へ向かっていくつもりだったが、麻綿原高原の展望台からの景色を見たくて、少し寄り道した。
ここがこのあたりの最高地点なので、あとは海岸へ向けて下って行くだけ。麻綿原あたりでは「山ヒル注意」の看板があり、奥谷林道を走っているあいだもそれが気になってしかたない。舗装路だが、ところどころ排水溝のギャップがあり、いい気になってスピードを出すと転びそうで怖い。
キャンプサイトを過ぎ、10分ほどでバーベキューサイトのある広場に着いて、昼食にした。
県民の森を出るともう住宅地で、思ったほど下らずに小湊の町中に出てしまった。コミュニティセンターではお祭りをやっている。JRの線路を陸橋で越えて、ぐるっと回って安房小湊駅前へ。
ここからが5/5以来の海岸沿いルートの続き。小湊鉄道の「小湊」は、安房小湊を目標に線路を敷いていたのだろうか。天津の漁港を過ぎると、海辺に「県指定天然記念物明神の鯛」の石碑が。海辺に降りて行くとここにはなんと浅瀬に鯛が逃げて行くのが見えた!
国道旧道は鴨川市に入るとバイパスと合流して歩道も広がり、一気に走りやすくなる。街路樹がまるでリゾート。亀田総合病院の前を過ぎ、小さな川を渡るとすぐ、国道から海辺に自転車道が始まっている。
鴨川シーワールドを訪れるたびに気になっていた海辺のサイクリングロードだ。イルカのスタジアムのスタンドの上から、通り過ぎる自転車を眺めていたものだが、きょうは逆にシーワールドの観光客を眺めながら走る。海辺は砂浜が浸食されていて、自転車道のすぐそばまで波が迫っている。砂浜がわずかしかないせいか、舗装路は砂をかぶっていなくて走りやすい。いいことなのかどうか。
前原海岸のプロムナードを南下し、真新しいマリーンブリッジで加茂川を渡る。人気のない漁港に迷い込んで、先に行くと岸壁に突き当たって行き止まり。雀島を囲んだ断崖絶壁に阻まれ、その先は道がなかった。引き返して国道を走る。
海岸に防風林が続く一直線の道を快適に飛ばす。国道沿いには「花摘み」の看板と温室群。海岸は花園海水浴場。道路沿いにドライブインがあって、その前に「お花畑」バス停があった。和田浦で国道を外れて漁港へ。少し日が斜めになってきた。漁港の外れの海岸では子供達が遊んでいた。岸壁にはクジラのかたちをした小さなプレートが貼られていて、よく見ると "My Bonnie" の歌詞が刻まれていた。思わず歌が口をついて出た。
白渚海岸のサーファーは上手かった。波がよいせいもあるけれど、いままで海岸沿いの旅を続けていて、愛知の赤羽根海岸と一二を争うレベルの高さだと思った。「和田サーフ橋」で温石川を渡ると、防波堤沿いに自転車道が続いていて、丸山川の手前まで快適に飛ばす。国道に戻ると、フラワーライン。恐ろしいほど一直線に続いている道。
丸山町のローズマリー公園。昔来たときにはこんなに洋館風の建物があった記憶がないのだが、いまや立派な観光名所。英国風の博物館はまもなく17時が閉館で、タータンチェックのドレスを着た係員が片付けを始めていた。
フラワーラインを南へ走り、直線が少しカーブを始めたところから、地図を頼りに千歳の町中に入る。生け垣で囲まれた家々のあいだを、軽トラックしか入れないような道で抜けて行くと小さな港があった。かつて冷凍倉庫だったらしい大きな木造の建物が朽ちて、猫のすみかになっていた。浜辺にはハマボウフウが夕日に映えて揺れている。
まだ少し明るいが、瀬戸浜海岸の堤防に出て、キャンドルに火を点す。海からの風がやまず、何度か消えてしまった。上がり始めた月を眺めながら祈りを捧げると、あとは帰るだけ。千倉駅でMTBを分解して、ローカル列車に乗り込んだ。
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