Iragosaki
9時には漕ぎだせるように三河田原駅に戻ってきたのに、ちょうど土砂降りに。遅くなるにつれ天候が悪くなると読んでいたのが、未明から降ったりやんだりなので、少し雲の流れが速まっているようだ。
天候待ちの策を考える。まずは「セントファーレ」のBLUEBERRY CAFEで、名古屋名物モーニングセット。時間をかけてゆっくり小倉トーストを楽しむ。ミニサラダをたいらげ、地図を眺め回し、それでも雨が止まないので、町外れのジャスコへ向かう。10時開店まで少し早かった。開店と同時に店に入るが、さしてやることもなし、書籍コーナーでレジのおばちゃんの冷たい視線を感じつつ、ひたすら読書に励む。モトはTVゲームコーナーで、他の子のプレイを指くわえて見ていたらしい。
11時すぎに外に出てみたら、少しは小降りになっていた。このまま上がりそうだ。
TVゲームができなくて不機嫌なままのモトと三河田原駅の駐輪場に戻って、出発。屋根付きの駐輪場で助かった。きのう豊島駅からこっちまで走ってきたのは正解だった。
化学工場のあいだを抜け、県道を赤羽根へ向かう。バイパスができるまではこっちが国道だったはずのメインストリート。とは言え、少しは寂れ気味。色あせたマリリン・モンローの巨大看板が出迎えてくれる。
警察署の前で、県道と並行して裏道があるのを発見。しばらくはそれに沿って走る。水たまりに気をつけながら。それほど長くは続かず、再び県道走り。
「北山クリニック」という妙に具体的な名前のバス停を過ぎる。農業高校の先の信号を、「赤羽根」の標識にしたがって左折した。伊良湖岬まであと25キロ。幅の広い歩道を快走する。
坂を下って行くと、下り切った橋が汐川。あれ、田原市内を流れてるのと同じ川だ。川沿いに道路を敷かなかったのは、水害を恐れてのことだろうか。用水路の張り巡らされた水田のあいだをしばらく走って、再び国道42号線に出た。
国道を数百メートル、坂を上がると「太平洋ロングビーチ」の入口。雨がやや強くなって来た。直進すれば20キロで伊良湖だが、その「ロングビーチ」に沿ってサイクリングロードが始まっているので、雨に濡れるのを我慢して急坂を一直線に下って行く。ブレーキが悲鳴を上げる。
海に突き当たったところが、海辺に巨岩ごろごろの海岸。きょうのような悪天候にはぴったりの光景だが、雨煙の先にはサーファーが。海岸沿いの道路にはワゴンが縦列駐車で並び、車内には手持ちぶたさの子供や恋人たちの姿が見える。難儀な趣味だ。
車道と並行してサイクリングロードがあるのだが、1キロも走ると、自転車道のみになった。ところどころに「アカウミガメを守ろう」の看板があり、ウミガメ保護のために自転車以外の車両が通行禁止になっていることがわかる。自転車はやはり自然に優しい乗り物だ。
きょうの行程、30キロ弱の半分は、こうしたサイクリングロードのはず。天気が多少悪くても出発したのは、自動車との接触の心配が少ないから、ということもある。
赤羽根港でちょっとだけ国道に交わり、雨から逃げ込むように道沿いの「くろしお」という食堂で昼食。いかにも観光客相手のドライブインという感じだったのでちょっと心配だったのだが、先客は休憩中のサーファー6人、刺身定食と味噌カツ定食にはずれはなく、次から次へ他の客も来店。
42号線沿いはもともと商店が少ないのだが、渥美半島も先端に近づくにつれ、ますますこうした食事ができるところがなくなってくる。しかも雨で行動範囲が狭まっているので、ちょうど昼食時に赤羽根港に着いたのはラッキーだった。
店を切り盛りしているおばちゃんとお姉さんに励まされて、霧雨の中を出発。
サイクリングロードは港の向こう側に続いている。約4キロ弱の波打ち際ルート。砂に埋もれているところはごくわずかで、走りやすかった。
サーファーがぞろぞろと歩いていて、海に出たところがサーフポイント。サーフィンを眺めながら走るのは、ことのほか楽しい。うまい人もそうでない人も、楽しそうに波間を漂っているからかも知れない。
波は結構高くて、サイクリングロードも波をかぶりそうなところがある。旧赤羽根町サイクリングロードの終点は、旧渥美町との町境。いまではどちらも田原市だが、ここで「25%」勾配というすごい道路標識を目撃。つまりは階段なのだが、自転車が通れるように中央にスロープがつけられている。まさかのサイクリングロード終点だった。
三たび国道42号を走る。相変わらず左右にカーブしながら、緩く丘を上り下りする洗濯板のような道。クルマで走ればジェットコースターなのだろうが、ゆっくり走る身には、上り坂はただの上り坂だ。
メロン食べ放題、イチゴ狩りの農園を過ぎるが、いまは端境期。誰もいない。和地の集落に入ると、家々の前にいろとりどりの花が目立つようになる。
5キロほど走るとまた「太平洋岸自転車道」の標識が現れ、温室の脇をまた海岸へ折れた。
最初は断崖の上の松林の中。モトは例によってクモを気にしているので、上を見上げない方がいいよ、と忠告する。余計気になったようだ。
サイクリングロードは格好の犬の散歩道でもあるらしく、無法地帯のように糞が落ちている。おまけに、かたつむりが我が物顔に道を横切る。とても口笛を吹きながらは走れない。
堀切海岸で海岸沿いまで下り、あとは砂浜沿いをどこまでもまっすぐ。雲の切れ目から薄日が射してきた。遠くの海上に日光が降り注いでいるのがうらやましい。行く手には伊良湖ビューホテルが建つ小高い丘が見えてきて、それがペダルを踏めば踏むほど近づいて来る。
石門が近づくと、舗装が急に新しくなり、快適そのもの。石門と伊良湖岬との分岐の標識があるが、石門は目と鼻の先なので、少し寄り道してみる。
伊良湖岬へは断崖を越えるために峠を越えねばならない。急登する車道とは別に、自転車道は海岸線を離れた斜面を大きく回って緩やかに高度を稼ぐ。再び車道をくぐって海を見下ろす断崖上からの景色。波のうねりが手に取るようにわかる。
ここからは一気に下って、恋路ヶ浜へ。伊良湖ホテルの前の駐車場で大勢の観光客を見て、ようやく人里に戻ってきたことを感じた。
最後の一押し。海上交通センターへの長い上り坂を押して登り、せっかく登ったのに下らないと見られない波打ち際の灯台に、波濤の驚異を感じて逃げ帰り、最後はサーファーと出航準備しているフェリーを眺めながら、フェリーターミナルへの下り坂。自転車歩行者専用の橋を渡り切って地上に下りたところで、フェリーが岸壁を離れる。それを眺めていたら、背後でちょうど田原行きのバスが出て行った。ああ惜しい。
岸壁まで行き、伊勢湾フェリーの乗り場を今回のゴールとする。16時少し前。最後は晴れて、気持ちのよいライディングだった。愛知県は短かったがこれでおしまいで、次回は鳥羽から三重県の旅になる。
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