The Dark Harbour
「万造、38歳。職業、漁師。嫁、募集中。」というキャッチコピーで、いかにもイケてない主人公が主役の映画『不灯港』。
「漁師万造(俺デス)の恋愛模様を描くハードボイルドな喜劇、という若干変な映画ですが、海外の映画祭でも好評とのことで、老若男女楽しめる内容になっています!」と主演した役者から案内が回って来ていたので、見に行ってきた。
のっけから万造がひとり船のエンジンをかけて漁に出るシーンから始まるが、黙々と網をたぐるばかりで、台詞が出て来ない。港に帰っても、漁師同士の会話に万造は加わらず、全体を通してとにかく台詞が少ない。それゆえ、万造の強烈なキャラクターを形作る「クサイ台詞」が光るのだ。
登場するキャストは両手で数えられるほど。しかし万造のキャラクタ−がストーリーをぐいぐい引っ張る。もうスクリーンから目が離せない。そしてときおりぼそりと呟く台詞に、やられちまうのだ。
ストーリーからは意図的とも思えるぐらい地域性が排除され、台詞にも方言が入らず、舞台がどこかはわからないが、ロケが行われた港は、千倉市の忽戸港だそうだ。「くじらのたれ」で有名な千倉港のすぐ南にある小さな漁港。本当に嫁不足が深刻な場所かと思っていたので、ちょっと意外だったが、まあそういう場所でロケをするのは逆にしんどいかもしれない。
この映画、実はコメディでも、ラブストーリーでもない。強いて言えば、上記の案内にあるとおり「ハードボイルドな」男のロマンを描いたもの。題材は普遍的だし、台詞よりも演技が雄弁なキャストだし、むしろ国内よりも海外で今後どう評価が広がって行くのかが気になる。
ところで万造の「クサイ台詞」がさほどクサイと思えない私は、もうヤバいのだろうか‥‥。
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