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The Olympic Syndrome

by Days posted at 2008-09-08 23:34 last modified 2008-09-08 23:34

「新世紀新聞網」に掲載されたという「アムド出身の中国人学生の日記」の続き。信憑性はまだ確認する必要があるが、ストーリーとしては訳していても興味深い。あと1週間分続くので、断続的に載せます。

2008年7月26日(土)「オリンピック症候群」

朝、自分の弟に同じ村の友人から電話がかかってきた。友人の数人が酒を飲んで、パトロール隊(中国では「110」として知られている)に絡み、その結果、殴られて閉じ込められたのだという。知り合いの誰かが公安にいて、釈放を働きかけてくれるのではないかという期待で、弟は他の兄弟にも電話をかけていた。それを聞くやいなや、父は彼に説教を始めた。「いまはオリンピックの特別な時期なのだから、用心深く行動するよう心がけ、うかつに出かけるべきではない。何か事件があれば、パトロール隊はすぐに『オリンピックの開催と社会の安定を妨害する者』というレッテルを貼るだろう。思ったより大変なことになる」と。そして、オリンピックがなければ、それぐらいのことならすぐに釈放されたのに、と付け加えた。弟もおとなしくせざるを得なかった。

自分にもお昼頃に電話がかかってきて、英国籍で北京勤務の友人が強制送還されたと聞いた。その友人は英国で生まれ育ったチベット系二世で、世界的に有名な大学を卒業していた。彼女はいくつもの言語に精通して、北京で教師をしていた。自分と彼女のあいだにはいくつも共通の話題があったし、またチベットのチベット人と、海外のチベット人との趣味や好み、観点の違いについていつも議論していた。自分が北京を離れる際、おとなしくして、健康にも気をつけるようにと言って別れた。政府が非常に過敏になっていたので、できるだけその注意をひかないように、オリンピック期間中はとりわけ用心に用心を重ねると、彼女に念押ししたのだが。チベット人、北京在住のチベット人、特に外国籍のチベット人だから、特に政府の調査の対象になっていたのだろうと思う。ネットも使えない、テレビも見ない状態だったので、彼女の強制送還について詳しいことはわからない。ただ友人からの電話で知っただけだ。聞いた話では、彼女は自宅にいたところを突然連行され、数時間に渡る尋問の後、英国への航空機に乗せられたそうだ。外務省の発表では、彼女はチベット青年会議の幹部だったというが、その時点ではビザも切れておらず、何も中国の法律に触れていなかったから、彼女は激怒したのだそうだ。私が何をしたというのかと公安職員に詰め寄ったところ、自分たちは何でも知っていると言われたという。4月に彼女が英国から北京に戻ってきたとき、チベット人であるがゆえに空港で2時間以上の尋問を受けたことを自分は知っている。彼女の生まれ自体が「トラブルの元」だったというわけだ。

今回、自分が実家に戻って長い休暇を過ごすきっかけとなったのはオリンピックのためだった。6月初旬ないし3月14日の事件後、チベット人が北京に住むのは大変になった。自分は5月にラサからやってきた。列車の中で、公安が何度も自分の工作証をチェックし、番号を控えて行った。オリンピックが終わるまで、チベットのチベット人たちがそこを離れないよう、地方の公安がきめ細かく調査するよう公安当局が指示していたということを、北京に着いてから北京在住のチベット人に聞いて知った。多くのチベット人が北京から次々と離れていき、オリンピック後に戻ってくることを考えていた。自分もそのひとりだ。

チベットで数人の外国人旅行者と食事をしていたとき、彼らは中国人が「オリンピック症候群」にかかっている、と言った。まさに中国人みんなが「オリンピック症候群」に感染して、それぞれ異なった症状を呈している。あるものは興奮し、他の者は怯えている。楽しみにしている人たちがいる一方で、それを嫌い人もいる。オリンピックを祝祭に例える人がいれば、悪夢だと思う人もいる。その外国人旅行者は、チベット人にとってオリンピックは呪いの対象だろうと言った。
オリンピックは、少なくともチベットで、チベット人にとっては、SARSのような「感染症」になったともいいだろう。自分のようなチベット人は、SARSを避けるがごとく、オリンピックを避けて北京から逃げてきた。が、チベットに帰った自分が見たのは、SARSでなくとも地方政府が攻撃の最前線にいるということだった。いや、SARSに似ているのは、検問があちこちにでき、郡政府のある町がまもなく封鎖されるということだろう。

実際には、自分たちがオリンピックから逃げようとしているのではない。中国国内でチベット人が「二等市民」として扱われたり、チベット人だからというだけでテロリストと疑われたりするようなことがなければ、チベット人に大部分は世界的な素晴らしいスポーツイベントを歓迎しただろう。そして自分たちはみな、オリンピックを観ようと北京にいたことだろう。
オリンピックは、チベット人と中国人の状況を映し出す鏡だ。
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