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The Torch in Tibet

by Days posted at 2008-09-21 22:46 last modified 2008-09-21 22:47

「新世紀新聞網」に掲載された「アムド出身の中国人学生の日記」。解放軍記念日(8/1)と、ラサでの聖火リレーについて。中国語の原文を英語訳したものの日本語訳なので、原文とは違うところがあるかもしれない。
正直言って、解放軍賛美の式典に参加したチベット人の心理については個人的な日記であっても中国本土でここまで書けるものかと思うし、聖火リレー後の張慶黎の発言についてはなおさらだ。ただ、これが作り物の「日記」であったとしても、ウーセルが伝えているような本土チベット人の感想を十分代弁していると思うのだ。

2008年8月1日(金)金曜日は休日


きょうは解放軍記念日だ。地方政府は「歓迎五輪、祝賀八一」の式典を行った。主役は「3月14日事件」以来、この地方に駐留している役人や兵士で、退役軍人が演奏した。
式典会場の周辺ではたくさんの公安が警備していて、郡の要人がみな出席していた。兵士と民兵が多く来ていたほか、一般の人たちも加わって楽しんでいた。
プログラムの最初は芸能グループによるコーラス「ある母と娘たち」だった。続いて彼らは歌ったり踊ったりした。舞台の中身は、どれも単純に祖国賛美あるいは共産党を讃えるものだった。この人たちは障害を共産党組織の中で過ごしてきたのだ。彼らは退職したが、まだ共産主義万歳と言い続けている。党組織のおかげで出世できた人は、特に要人のために練習を積んで情熱を傾けて演じるのであって、自分もチベット人のひとりであるという意識はまったくない。共産党がチベットを掌握してから儲けた人たちが共産党に感謝するのは当然のことだろう。

式典の主催者は、「3月14日事件」の後の「地域駐留部隊」を招待した。が、舞台は自分が思うにはそれはふつうの舞台とは異なるもので、それは人々を怖がらせ、うんざりさせる威嚇の一種だった。彼らは中国武術や拳法、体中のあちこちを使って棒を壊す武術、レンガを使ってハンマーのように使う方法、「悪者」を懲らしめるための短剣の指し方などを次々と「演じた」。観ていた人たちは興奮して叫びだしかねなかった。演技が行われるたびに、まるで自分の体が傷つけられるかのように怯え、そして演じている人が怪我をしないか心配するのだった。私の隣に座った老婆は繰り返し祈っていた。「もうやめてください。なぜそんなことをするのでしょうか。きっと怪我をするでしょう。三宝があなた方の子供たちを祝福しているのですから」。演技が終わると、観衆は兵士たちの能力に感嘆し、ある程度だが、尊敬するようになったようだった。
これは、あれだ。ひょっとすると、このステージは自分たちのために特別に「お膳立て」されていたのだろうかとも思う。聞いてほしい。彼らが自分たちに行うかもしれないいろいろな拷問の方法を見せていたのだが、自分たちはそれを脅かしだとか挑発だとか感じていただけでなくて、本当に演じている人たちのことを心配していたのだ。言うが、本当に哀れなのは自分たちだ。
式典の間ずっと、要人たちは薄笑いを浮かべていた。彼らが式典の雰囲気に合わせてテレビカメラの前でポーズをとっていたのか、本当に式典に満足していたのかは知る由もない。が、少なくとも式典が彼らの狙い通りに効果を発揮したことには満足すべきだと思う。

こんなイベントがチベットのいろんなところで、休日ごとに行われていると考えるにつけ、それは次第に「普通に」、いつも通りの活動として受け取られるようになるのだが、こんな真理を含んでいるのではないかと思うようになった。つまりこうだ。チベットという大きなステージで、本来主役であるべきチベット人は脇に追いやられ、強大な力を持って外から来た軍、政府や現在の社会制度を潤すひとにぎりのチベット人だけが監督や主役級を演じることができるのではないか。舞台の配置、出し物の中身、時間割から開催場所に至るまで、決めるのはこうした人たちだ。舞台上ではこれら2グループの人たちが互いに称え、媚びている。この関係は完璧に見え、まさに彼らが自分たちこそが主役だと認識するようになるのだ。
だが、大部分のチベット人はどうだろう。自分たちが自分たち自身の土地から疎外されているとか、脇に追いやられているとか、無力にさせられているとかなんて、ここではとても言えないし、大多数は何も感じずに、何も考えないようにして過ごしているだろう。何かに気付いたとしても、それほど深くは考えまい。そんな状況でも、絶望的な状況を打開することができないと感じるだろうか。抵抗するよりもレイプされるほうがマシだと考えるだろうか。何度もレイプされた後で、その相手に恋心を抱くことがあるだろうか。それとも自分たちはまだそんな最悪の事態に至っていないということだろうか。自分たちの親切心や情緒は、理性的な思考能力をごまかすことができるのだろうか。

舞台全体を通して、主催者も、主役も脇役も、誰もチベット語の台詞を話さなかった。
虎の毛皮で着飾ったチベットの民族衣装を着たチベット人が、「チベットの歌」を中国語で唄っているのを聞いた。
演じている人たちはベストを尽くしたし、観衆は来てよかったと思うだろうし、要人たちは十分満足しただろう。それでみんな幸せだ。
そんな彼らを見て、自分を振り返った。まったく自分は泣きたくなった。

2008年8月5日(火)成都の聖火リレーと、チベットでの聖火


新疆で軍隊が襲撃される事件があったと聞いた。家族はみんな、新疆の分裂主義者がオリンピックを阻止するために起こしたのだと考えていた。自分の母はため息まじりに言っていた。「政府は長い時間をかけて、大変な思いをして準備しているのに、彼らはオリンピックが順調にいってほしくないのでしょう。妨害するなんて信じられないわ。政府は一生懸命やろうとしている。彼らは政府が目的を達成するのに協力すべきでしょう。問題を起こしたいのなら、後でだってできるでしょう。政府がかわいそうです」。
すべてのチベット人がそうであるように、心優しい母には他人の望みをできる限り叶えようと力を尽くす美徳がある。が、そのいわゆる「分裂主義者」が人間の基本的な尊厳を守るために、命をかけて闘おうとしていたことは知らないのだ。

叔父が言うには、聖火リレーがきょう成都で行われたそうだ。大げさに聖火を運ぶ人たちをテレビで観たとき、彼らには良心のかけらもないと、叔父は感じたという。「地震が収まって、まだ少ししか経っていないじゃないか。彼らは良心を持ち合わせていないか、大げさに横柄なふりをしているのではないか。そんなことを考えなくても、成都の連中は本当に大げさすぎるよ」と叔父は怒りが収まらないようだった。
ラサでの聖火リレーのテレビ中継を見たか、と叔父に聞いたが、見ていないとのことだった。中国共産党によるごまかしの政策のために、四川省の管轄にあるこの郡の名前には、「チベット」「自治」という名前が入っているが、チベット人の若者の目には、ラサよりも成都のほうが身近なのだ。よって彼はラサでの聖火リレーを見ていないにも関らず、成都のほうは非常に気になるようだった。

数分の黙祷を除いて地震に襲われたことをまったく感じさせなかった成都での聖火リレーとは対照的に、聖火リレーがラサにやってきたとき、ラサはまたもや「政治的激震」に見舞われた。ラサでの聖火リレーのあいだずっと、この政治的激震の衝撃が至るところに見られたという。
ラサ市当局はラサにやってきた聖火リレーをチベット人たちが熱狂的に出迎える場面を演出しようとしていたらしいが、熟練テレビクルーの腕を持ってしても、町中が緊張と不安とに包まれているのを映さないことはできなかったという。政治的な象徴としての聖火ランナーが走る間、一帯は公安と軍事部隊とで固められていたという。スタート地点とゴール地点を除いた他の場所では、聖火リレーのルートにできるだけ近づかないように人々が排除された。張党書記の挑発に満ちた政治的な演説は、聖火リレーを歓迎しているのは彼らだけで、それ以外のラサの人々が歓迎していないのではないかという恐怖の表れだ。
ラサで聖火リレーが行われた日、一般の人たちは外出を禁じられ、観に行けなかったと言われる。テレビに映っていたような、通りの両側で聖火リレーを歓迎していた人々は、当局によって集合させられた人たちだという。この人たちは、事前に何日もかけて身辺調査をされ、聖火リレーの前日に集められて当局が手配したホテルで待機させられたのだそうだ。当局は彼らの人数と名前を3回も確認した。聖火リレー当日は朝4時集合。数えきれない検問を抜けて、指示されたとおりにチュバを着て、赤旗を手に手に持って、聖火リレーが通過する通りに配置され、中国部隊が監督する聖火リレーの到着を待たねばならなかったのだという。彼らの任務は、聖火リレーとテレビクルーがやってきたときに、その前で「ラサの人たちが興奮して歓迎している様子」を演じることだった。

成都の聖火ランナーが、良心のかけらもないと非難されるのなら、自分たちはより苦しんだだろうラサの人たちに共感を感じることだろう。
精神的、政治的な「震災」は、現実の地震よりもひどいダメージを与え、その衝撃は長く続くだろう。
当局がそのことを考慮したのか、自分にはわからないが。
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