Turning to Liu Xiaobo
「風が吹けば桶屋が儲かる」ではないけれど、計ったように物事が動くことがある。そして、その予想が狂うこともある。
劉暁波がノーベル平和賞を受賞するのではないかという声は、8日の発表が近づくにつれて高まっていて、それゆえ私はノルウェーのノーベル平和賞委員会がその期待を裏切るのではないかと思っていた。が、8日18時。世界中の人権や民主主義に関心を寄せる人たちが歓声を上げる結果になった。
昨年平和賞を受賞した米国のオバマ大統領は「たとえ政治改革が遅れていたとしても、すべての人、女性、子供たちにとっての基本的な人権が尊重されなければならないということをノーベル平和賞は思い起こさせた。私たちは劉暁波氏を速やかに釈放するよう中国政府に求めたい」との声明を発表した。
また、1989年のノーベル平和賞を受賞したダライ・ラマ14世は近い将来、いまの中国市民の責任ある政治の努力が新しい世代で実ると信じている」「いかなる国にとっても言論の自由は絶対不可欠だという温家宝首相の言葉を信じる」と声明を出した。
それまでノーベル賞特集を組んでいた中国の各ポータルサイトは、平和賞について沈黙。中国国内の検索サイトでは「ノーベル平和賞」の検索結果が出なくなった。CNNやNHKをサイマルで流していた中国国内のチャンネルは、平和賞の話題になるといきなりブラックアウトした。画面が復活したときにはサッカーのニュースだったという。
ネットを規制する「万里の長城」を越えて海外の情報を得ていた中国国内の勇気ある人々も歓喜の声を上げた。が、特殊なツールを使い、規則違反を冒してまで海外のネットを見たいという人はごく少数。ほとんどの中国市民は「CCTVのニュースでは報道していないから」と信じなかったという。
貴州では人権検討会のメンバーが祝賀パーティを開こうとウォルマートに集まったが、公安に阻止された。呼びかけた陳西氏が19時から23時まで拘束された他、黄燕明、杜和平、李仁科の各氏も拘束された。集まった他の人たちは解散させられたという。他にも北京や陝西省など各地で王荔蕻氏、阿爾氏、屠夫氏など人権活動家らが「公共秩序への擾乱」を理由に逮捕、拘置されている。
中国外交部は即座に記者会見を開き、馬朝旭報道官が「劉暁波は中国の法律を犯し、司法によって裁かれた犯罪人。それがノーベル平和賞を受賞するというのはその趣旨に反しており、平和賞を冒涜するもの」と話した。これが報道されてからようやく中国の検索サイト、百度ではノーベル平和賞に関する検索ができるようになったが、表示されるのはこの談話だけだった。
つまり多くの中国市民にとって「ノルウェーの委員会が何を間違ったのか無名の犯罪者にノーベル平和賞を与えた」「このことで外交部がノルウェーに抗議したらしい」ということしかわからないままなのだ。
その本人は、遼寧省錦州市太和区南山里86号にある錦州監獄に収容されている。報道によれば、妻の劉霞さんが面会しようと訪れたが、まだ果たせておらず、劉霞さんの携帯もつながらない状態だという。
いずれにしても「国家分裂罪」という根拠のない罪で裁かれた劉暁波を、一刻も早く釈放してほしいと願う。
「ノルウェーのノーベル賞委員会は、人権と平和には密接な関係があると信じている。そうした権利がアルフレッド・ノーベルが遺した『国家間の友愛』の礎になるからだ」と受賞理由には書かれている。
劉暁波と同様、基本的人権の確立に挺身し、当時ソ蓮で軟禁状態にあったサハロフ博士は、1975年にノーベル平和賞を受賞した。が、授賞式には出席することができず、1980年にはアフガン侵攻に抗議して流刑処分になった。1986年、ゴルバチョフ書記長により復権。初代大統領になったゴルバチョフが1990年にノーベル賞平和賞を受賞した際、サハロフ博士もようやく授賞式出席がかなった。ソ連が崩壊したのはその翌年のことだ。
もしこのまま「計ったように物事が動く」のであれば、劉暁波の受賞が中国に雪解けをもたらし、近い将来の中国の指導者が再びノーベル平和賞を受賞することになるだろう。歴史は繰り返すだろうか。
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