Uyghurs Deported from Phnom Penh
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カンボジアで起きたウイグル人亡命希望者の中国への強制送還事件は、アジア経済の中で存在感を増す中国の成長を背景に、中国政府の人権侵害の深刻化を如実に示している。20世紀後半に浸透した人権の概念は紛れもなく西洋発信の価値観だが、それとは相容れない未知の社会が中国に現れつつあるのではないかと恐れを抱くほどだ。
ウイグル人22人が亡命を希望してカンボジアの首都、プノンペンで保護されていることをRFAが報じたのは12月3日のこと。最初はむしろ7月に起きたウルムチでの民族衝突に関して、関与を疑われたウイグル人の逃亡が相次いでおり、それに対する中国国境での警戒が厳しくなっていることを報じたものだった。
中国は雲南省と広西チワン族自治区の2ヵ所でベトナムへの国境を開いており、近年の貿易需要の高まりで国境近くまで高速道路が開通、バスも頻繁に出ているという。
ウイグル人が死傷者を出した7月の民族衝突に関わった疑いで拘束を逃れるため、ベトナム経由でカンボジアへ亡命しようとするのを防ごうと、中国政府はベトナム国境での警戒を強めているという。
情報筋によれば、9月15日以降、亡命を企てたり、手助けした31人のウイグル人が南部の深圳や広州、中部の昆明などの町で拘束された。
カンボジアの首都、プノンペンの国連難民高等弁務官(UNHCR)事務所には、新疆ウイグル自治区から逃れて来たウイグル人22人が保護されているという。一行には2人の子どもも含まれ、ベトナム-カンボジア国境を越えるためにお金を払って来たという。
この22人のほか、ベトナム-カンボジア国境を越えようとした2人のウイグル人がベトナム側で拘束された。その他にも5人が中国からベトナムに出国して以来、行方不明になっていると情報筋は伝える。
ベトナムにはUNHCR事務所がないため、難民はカンボジアを目指すしかない。22人の亡命希望者がこのままカンボジアに留まれるかどうかは不透明だ。UNHCR本部とプノンペン事務所は個別の案件に関するコメントを控えた。プノンペンのUNHCR事務所はRFAウイグル語放送の問い合わせに対し、亡命希望者のうち2人は7月のウイグル人と漢人との民族衝突について証言しているという。
当時について「ウイグル人抗議参加者は、‥‥みんな武装警察に取り囲まれて‥‥手錠をかけられ‥‥警棒や銃把で殴られた。参加者が生き残っているとは思えなかった」とそのうちのひとり、Mutellip Mamutは証言しているという。「まるで袋詰めされた米のように、拘束されたウイグル人たちはトラックに投げ入れられた。何人かは撃たれて死んだ」。
「もし自分が中国に戻されれば、写真やビデオ、海外のニュースで放送された映像などから、ウルムチ暴動に関与したとして終身刑か死刑になるだろう」。
保護されている別のウイグル人によれば、暴動はウイグル人男性の集団拘束が引き金になったという。
「7月10日、隣人からその夫、Abdurahmanが彼の友人2人と一緒に捕まったと聞いたのです」とIslam Urayimは証言している。「友人のひとりMahmutは、デモが起きた場所の近くに、Kurbanはうちから300メートルのところに住んでいました。彼女が言うには、16歳以上の男性全員が拘束されたというのです」。Mahmutは証言する。「7月5日以後、私には2つの選択肢しかありませんでした。拘束に怯えるか、他の国へ逃げるかです。とても計りかねました。もし拘束されれば、私は死刑になるか死ぬまで獄中にいることになるでしょう。もし逃げれば、逮捕されて中国に送還されるかもしれません。私の罪状はより重くなり、間違いなく死刑になるでしょう。それでも後者のほうが安全だと思いました。それで逃亡の危険を冒したのです。私にはこれからどうなるのかわかりません」。
Urayimは、国外に行くのは怖かったが、7月の暴動の真相を世界中の人に知ってほしかったと言った。 「中国政府は7月の事件が、単なる襲撃、破壊、窃盗、放火だったと言いたいようだが、事件の引き金はデモで、しかもデモ参加者が中国国旗を掲げていたということを隠している」と彼は言う。
なぜ隣国のベトナムではなく、カンボジアを目指したのか、決死の逃亡劇の事情がようやくわかったところでその翌日の続報。
カンボジア当局者によれば、中国が極刑を科すのであればカンボジア政府は亡命希望者の一行を送還しない可能性が高い、という。情報相で政府スポークスマンのKhieu Kanharithが22日、インタビューに答えた。
「考慮すべき点がいくつかあります。犯罪者としては送還すべきでしょう。ただ政治的背景があるのなら判断は異なります。重要な点は、カンボジアには死刑制度がないため、犯罪者だとしても死刑の可能性があるかぎり送還できないということです」と情報相は話した。
カンボジア政府に対して中国大使館からまだ連絡がないため、政府としては何も決定していないと彼は付け加えた。22人のウイグル人は国際カトリック団体のイエズス難民会の保護を受けているが、同団体はコメントを断っている。
この後2週間のあいだ、22人のウイグル人については情報が途絶えたが、そのあいだ12月10日には、ベトナム側で拘束された2人のウイグル人についての詳報が掲載されている。ベトナムからカンボジアへ入る際、密輸業者に払う金が足りなくなり、2人が取り残されたのだという。拘束された2人は脱走しようとしたが、一人は800メートルを走ったところで再度捕まり、もう一人は森の中に消えたまま消息不明だと記事は伝えている。
22人のウイグル人の運命が急変したのは12月18日のこと。カンボジア政府は一転して中国へ送還すると発表した。少し長いが抄訳。
カンボジア外務省のスポークスマン、Koy Kuongは記者会見で、不法入国したウイグル人たちを中国に送還するとのプノンペン政府の判断を発表した。
「20人(のウイグル人たち)は、書類もビザも持たず、違法にカンボジアに入国した。これは1994年の入管法に違反している。不法滞在状態にあるので、彼らは送還されるべきである」。中国の習近平副首相が12月20日から22日までカンボジアを訪問する予定だ。カンボジアは副首相の来訪を機会に、インフラ整備、支援、借款など14件の協定を中国と結ぼうとしているとロイターは伝えている。カンボジアは既にダム建設、インフラ整備、灌漑のための8億5300万ドルの借款を始めとして、合計10億ドル以上の直接投資を中国から受けている。
ウイグル人たちが当初助けを求めたと思われるUNHCR事務所はコメントを拒否し、バンコクの事務所に問い合せるよう答えたが、金曜日には電話はつながらなかった。
ウイグル情報筋によれば、亡命を求めているウイグル人たちは、7月に起きたウルムチでの暴動に関して拘束や拷問、死刑になることを恐れているという。プノンペンの支援スタッフによれば、当初22人と言われていた一行のうち20人が内務省の保護下にあり、近々上海へ向けてカンボジアを離れると言われているという。残り2人の先行きはわかっていない。中国外交部は北京での記者会見で、ウイグル人たちには犯罪に関与した容疑があり、「関連部局」が捜査を行っていると発表した。「中国のスタンスは明確だ。亡命者保護制度は、犯罪者を処罰から匿うためのものではない」とスポークスマンは話した。
アムネスティ・インターナショナルは今週、カンボジアのSar Kheng内相・副総理に対し、拷問や不当な扱いが危惧される難民を強制送還しないことを求めた協定をカンボジアも1951年に締結していることを指摘する手紙を送った。
「アムネスティ・インターナショナルの調査では、2001年9月以来、亡命を希望したウイグル人が強制送還されたケースで、送還後に拘束され、拷問を受けたり、死刑判決を受けて執行されたりしていることがある」とアムネスティ・インターナショナルのアジア太平洋地域ディレクターのSam Zarifiは公開書簡で書いている。世界ウイグル会議総裁のラビア・カディールは、会議メンバーが中国で死刑執行に直面しているとして、強制送還をやめさせるよう各国へ介入することを求めた。
「自分の耳が信じられません」と自身も中国で政治犯だったカディールはインタビューに答えた。「7月5日にウルムチで行われた平和的なデモをきっかけに中国が既に死刑執行を行っていることをカンボジア政府は知っているはずです。それなのに22人に亡命希望者をカンボジアから送還しようとしているとは。私は、世界のあらゆる民主主義国がこの進行中の悲劇を止めるよう緊急に強く要求します」。アムネスティ・インターナショナル ワシントン事務所のT. Kumarは、オバマ政権がカンボジアに圧力をかけるよう国際人権団体が求めているという。ワシントン当局はこれについて反応していない。 「彼らが逮捕され、拷問され、処刑されるかもしれないということについて私たちは高い関心を持っています。そうした前例が実際にあるからです」とKumarは言う。
「カンボジアは中国に近すぎます。カンボジアやラオスなどの国々は中国への送還を行う可能性がありますが、それは国際的な慣例に反しています」。
そして習近平副首相のカンボジア訪問を前にして、その翌日には強制送還が行われた。
カンボジア当局は亡命を希望していたウイグル人一行を中国に送還した。 カンボジア内務省スポークスマンのKhieu Sopheak中尉は、20人のウイグル人たちが土曜日夜、プノンペン国際空港から特別機で出発したと発表した。
中国政府は亡命希望者を、特に容疑を明確にすることなく「犯罪者」と呼んでいる。送還は、習近平副首相が東南アジア4ヵ国訪問の一環としてカンボジアに到着する前日に行われた。米国や国連、人権団体は、カンボジアに対して強制送還をやめるよう促していた。
「カンボジア政府が難民審査の手続きに入ることなく強制送還するかもしれないという報告に、私たちは深く失望していた」とプノンペンの米国大使館スポークスマン、ジョン・ジョンソンは話していた。
米国を始め、欧米各国やアムネスティ・インターナショナル、ヒューマン・ライツ・ウォッチなど人権擁護団体はこれについて厳しい抗議を行ったが、後の祭りである。ラビア・カディール女史の声明にも、苦渋がにじみ出ている。その翌日12月21日のRFAから。
流血の事態となった民族衝突に関してカンボジアへ逃亡した20人のウイグル人の送還について、米国が「深い憂慮」を示す一方、中国はカンボジアの対応を擁護している。
「カンボジアは入管法に沿って不法入国した20人の中国人を送還したに過ぎない」と中国外交部のスポークスマン、姜喩は声明を発表している。「中国政府は慣例に従って対応する」。
姜喩は、ウイグル人たちの所在や彼らが起訴されたのかどうかについては明らかにしなかった。米国国務省のスポークスマン、Gordon Duguidは「米国政府はこれらの人々の扱いについて深く憂慮している」との声明を出した。
「難民認定を審査せずに亡命希望者を無慈悲に送還したことについて、米国はカンボジアに強く抗議する。この事件はカンボジアと米国との関係を損ない、カンボジアの国際的な立場を危うくしかねない」。 声明の中で中国に対しては「国内で起訴する場合においても、適切な手続きを取り、国際的な標準に則って透明性をもって扱うように」求めている。世界ウイグル会議と米国ウイグル協会総裁のラビア・カディールは月曜日、送還が「人権侵害に関する国際的圧力に中国が反発を強めていることを示している」と語った。
「中国に隣接する諸国にとって、ウイグル人を逃亡させるといった中国当局が不快に思うような行動を取るのは難しいでしょう」とカディールはウォール・ストリート・ジャーナルに寄稿している。
「私が刑務所に収監されていたあいだ、誰もあなたのことやウイグル人の自由など気にかけていない、と看守は口にしていましたが、実際には米国を初めとする他の民主主義諸国の人々が働きかけてくれたおかげで私への待遇はよくなったのです。亡命希望者に少しでも安全や待遇に関する希望があるのであれば、彼らの待遇について中国に圧力をかけることはできるでしょう」。
彼らがもし日本に亡命を希望して来ていたら‥‥。同様に中国の隣人である日本政府は、日本人ひとりひとりは、この事件をどのように考えるだろうか。
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