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World Misled over Himalayan Glacier Meltdown

by Days posted at 2010-01-20 01:26 last modified 2010-01-26 12:41
Statement on Himalayan Glaciers

17日の英国The Sunday Timesは、ヒマラヤの氷河縮退についてのIPCCリポートが「騙された」ものであった、と伝えている。
2007年に出されたIPCCの第4次レポートには、「ヒマラヤの氷河は世界の他の地域よりも縮退が速く進行しており、このままのペースでは2035年に消失する可能性が高い(WWF 2005)」と書かれているが、この引用元となったWWFのレポートは、さらに科学雑誌 New Scientist が1999年に掲載したインタビュー記事を元にしているという。

New Scientist によれば、同誌は当時、ヒマラヤ氷河に関する国際雪氷研究ワーキンググループの座長でジャワハルラール・ネルー大学のSyed Hasnain氏からメールで「4年間の研究によれば、このままのペースで縮退が進めば、ヒマラヤ中央部および東部の氷河は2035年に消失する可能性がある」「氷河湖の決壊が、インドとパキスタン、ブータン、チベット、中国に深刻な問題をもたらす」との回答を得たが、現在はこれらのコメントが「憶測」だったと認めているという。
当時New ScientistでSyed Hasnain氏に取材したFred Pearceによれば、「2035年にどの氷河が解けてしまうのかまではメモに残っていない。ただ、彼の発言がヒマラヤの氷河全体のことではなく、一部のことを言っていたことは確かだ」という。
そもそも雪氷学者のあいだではIPCCレポートのこの表現に懐疑的な見方が多かったが、カナダ・トロント大学の地理学者、Graham CogleyがNew Scientistと取材したFred Pearceにコンタクトを取り、Syed Hasnain氏に再確認したことで記事の誤りが発覚した。

WWFは18日にTimesの記事に関する声明を発表した(が、現在は掲載されていない)。
「2005年にレポートを発行した時点では、私たちはこの情報源が信頼でき、正確なものだと信じていました。2005年発行のレポートが様々なところで引用された結果、起きた混乱について、私たちは悔いています。WWFが提供する情報が正確なものになるよう徹底的に検証することを今後は強く心がけるようにします」。
WWFはNew Scientistの記事を他の論文などでダブルチェックしなかったのが原因だった、と認める一方、この誤りがヒマラヤの気候変動に関するWWFの従来からの主張に影響するものではないと発表している。
まさかWWFが6年後に自分の記事を引用し、さらにIPCCレポートにも採用されるとは思わず、結果として巻き込まれた形のFred Pearceは、NGOに過ぎないWWFの主張を鵜呑みにしたIPCCの「怠慢」を批判し、IPCCは対策を取るべきだと主張している。

ヒマラヤの氷河が縮退していることは確かだが、日本の雪氷学者によればこれは必ずしも地球温暖化の影響だけではないといわれる。
「ヒマラヤには北極、南極に次ぐ大量の淡水が氷河として蓄えられている」「その氷河が急速に溶けている」「上流では生活用水が不足し、下流域では水害が多発している」‥‥。一見してわかりやすい三題噺には、落とし穴がある。それぞれきちんと検証してみないことには、これらが関連しているとは決して断言できないのに、COP15のような政治的な場でこのようなイメージが利用され、それによってこれらの地域に住んでいる人々に見当違いな影響が生じるのがいちばん恐ろしい。

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